-本場のジャズクラブに行った気分を満喫!-

Jazz At The Bistro」
Benny Green/Russell Malone


june.28-29.2002(TELARC)
Benny Green.p Russell Malone.g

The Great American Songbook」
Carmen McRae

nov.1971(ATLANTIC)
Carmen Mcrae.vo
Joe Pass.g Jimmy Rowles.p
Chuck Domanico.b Chuck Flores.ds

 今回のお薦めは、まるで本場のジャズクラブに行った気分になれるアルバム2枚です。
たまにはライブハウスに行ってジャズが聴きたいと思うことがあるでしょう。できればアメリカに行って、ダウンタウンの落ち着いた街で、地元の人が集まる古いライブハウスで、生で、目の前で、バーボンでも飲みながら、欲を言えば金髪のお姉さんを横目に、いえ〜!いえ〜!言いながらジャズを聴けたらなんぼ幸せなんだろう〜なんて思いませんか。
今回ご紹介するアルバムは、あなたのそんな夢をちょっとは叶えてくれるでしょう。
 まずはピアノのベニー・グリーンとギターのラッセルマローンのアルバム「Jazz At The Bistro」。デュオのライブというとジム・ホールgとロン・カーターbの「ALONE TOGETHER」やチック・コリpアとゲーリー・バートンvibとの「クリスタル・サイレンス・ライブ」、スタン・ゲッツtsとケニー・バロンpの「ピープル・タイム」などたくさんの名盤、想い出に残るアルバムがありますが、今回のベニー・グリーンとラッセルマローンのライブもそんな一枚に入れてあげてもいいアルバムに仕上がっています。
 2001年のノース・シー・ジャズ祭のステージで初めてディオのコンサートを行ったベニー・グリーンとラッセルマローンの二人は観客から大きな喝采をあび、この共演を機会にディオでの活動を始めたそうです。ニューヨークにあるブルーノートでも演奏したということですが、今回のレコーディングはセントルイスにあるジャズクラブ「ビストロ」でのライブ。リラックスした中にも意気のあった心地よいプレイで、テクニカルなやり取りにも思わず引き込まれてしまいます。
 観客の暖かい声援も随所に聴かれて、本当に自分が「ビストロ」の店内に居るような錯覚に陥ってしまい、盛り上がると思わず居もしないとなりの客の肩を叩いちゃうかも! 薄暗い部屋でボリュームあげてお聴きくだされ。

 カーメン・マクレエは私の大好きなヴォーカリストの一人です。特に好きなアルバムがレイ・ブライアントのトリオをバックに歌う「アフター・グロウ」。 そしてこのアルバム「The Great American Songbook」です。
 なんでこのアルバムがいいのかというと、一曲目の「サテンドール」。拍手と笑い声の中、マクレエがメンバーを紹介。そして曲を告げるとチャック・ドマニコのベースがイントロを弾き始めマクレエがゆったりと歌いだします。テーマが終わった頃「ジョー・パス!」と名前を呼んでギターにアドリブを受け渡すと
ころが、余りにも格好良すぎて参ってしまうんですよ。ギターの入り方も最高。ここ聴くだけでもこのアルバム買う価値充分にあります。あとは怒濤のごとく彼女のペースに付いていくだけで、カーメン・マクレエのライブを満喫できるというわけです。
 おまけに2枚組ということで収録されている曲も多く、アメリカン・ソングブックだけにアメリカを代表する名曲がずらりと並んでいます。「サテン・ドール」に始まって「ディ・バイ・ディ」「ボディ&ソウル」。「イージー・リビング」や「酒バラ」といったメドレー、「ソング・フォー・ユー」や「遙かなる影」といったポピュラーな曲も歌っています。録音は1971年の11月。L.Aにある「ダンテ」というジャズクラブでの4日間のステージがぎっしりと詰まっています。
 アルバム最初からくつろいだ雰囲気に溢れ、マクレエと観客とのやり取りも楽しげに、演奏との調和もうまく保ちながらコンサートは進んでいきます。シリアスな曲もスィング感あるリズミカルなプレイも彼女にかかればお手の物。難しい理屈抜きにジャズヴォーカルの楽しさ、素晴らしさを味合わせてくれるアルバムです。それは彼女に応える観客の笑い声が物語っているでしょう。
こんなライブが聴けたら最高だね!